【ハナの耳はクラゲ耳】
それは、冬の入り口、柔らかい日差しが穏やかな午後だった。
暇さえあれば、ハナちゃんの頭をナデナデしているおかーちゃんが気が付いた。
「あれ? お耳の厚さが倍になってる。何これ、どーしたの、ハナ。」
おかーちゃんは、おとーちゃんが帰宅するのを待ってハナちゃんを動物病院に連れて行った。
そこには、おなじみ先生がいた。
「いつから腫れてます?気が付いたのは今日ですか?検査をしてみましょうね。」
ハナちゃんは、いつものニタ〜っと笑いながら近づいてくる針にブスッと刺された。
しばらくするとおかーちゃんは、診察室に呼ばれた。
「一時的な感染症みたいですね。何か悪いものでも食べたんでしょう。」
ハナちゃんは、ホッとした顔のおとーちゃんと、ムスッとした顔のおかーちゃんに連れられて帰宅した。
「まったく!どこかで拾い食いしたんだわ!」
「まあ、良かったじゃない。大したことなかったんだから。」
「クラゲみたいな耳なんて笑えないわよ!ただでさえ体重オーバーなのに、お耳まで太ってどーすんの!」
ハナちゃんは、知っている。
おとーちゃんがお料理するときは、いつもつまみ食いがもれなく付いてくる。
きっとその時に食べた何かがよくなかったんだ。
同じものを食べてるのに夏芽ちゃんは何ともなかったから、まだつまみ喰いはバレてないね。
ハナちゃんは、おかーちゃんの雷から避難した。
おとーちゃん、ほとぼりが冷めるまで一緒にコタツシェルターに隠れていようよ♪