バスと車のシート

旅の疲れも取れないうちにバスで地方へ移動することになった。行き先はバフサムという地方都市だ。長距離バスというからには広いシートでエアコン付きの快適なバスを想像していたらかなり違った代物だった。

私が乗ったのは、トヨタのハイエース。これが一般的な「バス」である。荷物は屋根の上にくくりつける。私のスーツケースの隣には、カゴに入ったニワトリが乗せられていた。

いったい何人の所有者を経てきたのだろうか。想像もできないほど年季の入った車の座席は、すり鉢状になっている。普通に座っているだけでも体が傾いてしまう。おまけに4人掛けのシートに5人も詰め込むのだ。

ちなみに25人乗りのマイクロバスは「ビッグバス」、それより大きいバスは「ビッグビッグバス」と呼ばれている。

私が滞在していたホストファミリーの車の運転席にはシートがなかった。背もたれもない四角い小さな木の椅子がちょこんと置いてあるだけ。右折や左折の時は、窓の上にある手すりを握ってハンドルを片手で操作する。さすがに運転しにくいのだろう。次に行った時には、ちゃんとシートのある車に買い換えられていた。