【金太郎さんの柏餅】

今日は端午の節句、ハナちゃんちには金太郎さんがやってきた。

「手ぶらでは来られないので、お土産を持参しました。柏餅と菖蒲です。お納め下さい」

何と心得た訪問者、お菓子を持参するなんて見上げたものだ。

ハナちゃんは金太郎さんが気に入った。

 

「ところで菖蒲は何に使うの?」

「菖蒲湯です。今日は端午の節句ですからね、菖蒲湯に入って邪気を払ってください」

「金太郎さん、柏餅は頂くけど、菖蒲はお持ち帰りしてくれない? ハナちゃん、お風呂苦手なんだ」

「これはセットですから。端午の節句には柏餅に菖蒲湯と昔から決まっているんです」

 

おかーちゃんは、菖蒲を麻ひもで巻いて湯船に浮かべた。

「あ〜いい香り。これって日本のアロマだわ。ハナちゃんもキレイになったし、いい節句だったわね。金太郎さん、また来年も来てね」

「合点承知!」

金太郎さんはマサカリを担いでお山に帰って行った。

 

ハナちゃんはお風呂のあと、金太郎さんが持ってきてくれた柏餅を食べようとした。

でもどこにも見当たらない。

柏餅はおとーちゃんのお腹に入ってしまっていた。

うえ〜ん、ハナちゃんのかしわもちぃ〜。

食べさせてくれないなら背中にミミズすりすりしてやる〜。

 

「ハナちゃん、それって毎日お風呂に入りますって、おかーちゃんに宣言しているようなものよ」

夏芽ちゃんがつぶやいた。

 

「しっかり聞いたわよ!ハナちゃん毎日お風呂ね!」

 

おかーちゃんは笑顔になった。

ハナちゃんは泣き顔になった・・・