【おとーちゃんと野球のボール】

 
お散歩に行ったら、野球部の高校生が女子マネと一緒に練習をしていた。
 
「楽しそうだなあ。青春だなあ。おとーちゃんも20代の時は野球とソフトのチームに入っててさ、、、」
 
おとーちゃんは、足元に飛んできたボールを投げ返した。
 
「ありがとうございますっ!」
 
外野から元気な声が返ってきた。
 
でも、おとーちゃんが投げたボールはそこまで届かなかった、、、
 
 
「アイテテテテ・・・」
 
おとーちゃんは照れ隠しに肩を押さえた。
 
 
夏芽ちゃんとハナちゃんは、落ちているボールを見ながらため息をついた。
 
「おとーちゃん、年齢を自覚した方がいいわよ」
 
「いつまでも若いつもりでいると怪我するよ。肩を痛めてハナちゃんたちのご飯を作れなくなったらどうするつもりなんだろ」
 
 
ツバメが風に乗って気持ちよさそうに飛んでいる五月晴れの夕方、ハナちゃんと夏芽ちゃんは、まだボール拾いをやりたいというおとーちゃんを無理矢理連れて帰った。