【赤シソという名のメロン】

おかーちゃんは、バスに乗ってお出かけした。

「ちょっと赤シソの苗をもらいに行ってくるわ。近所では売ってないのよ」

 

夕方、おかーちゃんは、大きくふくれた紙袋を持って帰宅した。

「おかーちゃん、苗もらってきたの?植えなきゃね」

でも、おとーちゃんが紙袋から出した赤シソは丸くて緑色をしていた。

「ふ〜ん、赤シソってメロンに似てるんだ」

「ハナちゃん、これはメロン・・・」


次におとーちゃんが取り出したのは、細長いビンだった。

「これは赤いな。でも、ビンに入っている苗ってめずらしいね」

「ハナちゃん、これはハーバリウムっていうのよ」

「おかーちゃん、赤シソはどこ?」

「もらってくるの忘れた・・・」

 

おかーちゃんは、赤シソの代わりにメロンとハーバリウムをお土産にもらって帰ってきた。

「何しに行ったんだあ?」

おとーちゃんは、呆れ顔でつぶやいた。

 

おかーちゃん、おしゃべりに夢中になると全部忘れる。

まあ、今に始まったことじゃないけどね♪