【冬至 夕暮れ 散歩道】
今日は冬至、最近は日が暮れるのが早いから、お散歩に行く時間も早くなる。
ハナちゃんは、いつもの散歩道、公園から大通りへ抜ける道を歩いていた。
途中まで来た時、おとーちゃんが突然立ち止まった。
「ハナちゃん、ちょっとここで待っててくれる?買いものを思い出しちゃった。」
おとーちゃんはハナちゃんを置いて走り出した。やがて姿が見えなくなった。
ハナちゃんは、後を追いかけようとした。でもリードが邪魔をした。
太陽はビルの向こうに沈もうとしている。光は白から赤に変化した。
おとーちゃん、さみしいよう。早く帰ってきて。
不安で涙が流れそうになった時、向こうから歩いてくるおとーちゃんの姿が見えた。
お、おとーちゃーん!帰ってきてくれたんだ!
「置いて行かれたと思ったの?おとーちゃんが、ハナちゃんを捨てるわけないでしょ。」
でも、おかーちゃんは捨てるかも。
「おかーちゃんが捨てたら、おとーちゃんが拾いに行くよ。」
帰り道、すっかり日は落ちていたけど、ハナちゃんの足取りは軽かった。