【魔法の眼鏡】

おとーちゃんもおかーちゃんも「メガネ」というものをかけている。

夏芽ちゃんが聞いた話によると、あれをかけると普段は見えないものが見えるらしい。

 

ある日、おとーちゃんはメガネを外してお昼寝をしていた。

おとーちゃん、メガネいらないの?

いらないならハナちゃんがもらってあげる。

 

ハナちゃんは、お部屋が見渡せるよう、椅子に乗ってメガネをかけてみた。

ん?夏芽ちゃん、絵の具に溶けちゃったの?輪郭がぼやけてるよ。

 

どれ、おかーちゃんはどうかな。

今日は赤いオーラを出してるね。え?服が赤いだけだって?

 

あれ、お部屋がぐるぐる回り出した。

変だな、いつからここは遊園地になったんだろ。

ハナちゃんは、目を回して椅子から転げ落ちた。

 

「ハナちゃん、何が見えた?」夏芽ちゃんが話しかけてきた。

メガネをかけるとね、自分の尻尾を追いかけてグルグル回るのと同じくらい楽しいよ。

ハナちゃんは、メガネをキープすることにした。

隠し骨とおんなじところに埋めておこう。

 

目が覚めたおとーちゃん、メガネがないことに気づいた。

「何で部屋が泥だらけなんだぁ?」

肉球の足跡をたどっていくと、ハナちゃんの隠し骨と一緒におとーちゃんのメガネが埋められていた、、、